小原庄助さんが身上をつぶした会津東山温泉
「会津東山温泉(あいづひがしやまおんせん)」は、小原庄助さんが「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上(しんしょう)つぶした」(会津民謡『会津磐梯山』)と唄われるほど、会津地方の人たちが愛してやまない温泉です。
地元では単に東山温泉と呼ばれていて、会津藩の奥座敷として江戸時代には藩御用達の温泉でした。小原庄助は江戸時代の名士だった人物で、唄の内容からも会津東山温泉はそのころから大いに賑わっていた様子がうかがえます。
「会津東山温泉」は、奈良時代(710~784)に草津温泉を発見したとしても知られる奈良の高僧行基(ぎょうき、ぎょうぎ・668~749))によって約1300年前に発見されたといわれています。
江戸時代には新撰組の副隊長土方歳三(ひじかたとしぞう)が足を負傷し、「会津東山温泉」(当時は“天寧温泉(てんねいおんせん”あるいは“天寧寺温泉”と呼ばれていました)の源泉“猿の湯”で傷を癒やしたといわれています。さらに明治期以降は竹久夢二や与謝野晶子などの著名人にも愛されました。
土方歳三が入ったとされる源泉は入ることはできませんが“土方歳三戦傷湯治岩風呂”として残されています。また、同じ源泉の“猿の湯”は「くつろぎの宿 新滝」の温泉として使用されています。
湯量豊富な肌に優しい弱アルカリ性の美肌の湯
「会津東山温泉」は、猪苗代湖や磐梯山で有名な福島県会津地方の中心都市、会津若松市の中心部から15分ほど、都会の喧噪とは無縁の自然豊かな川沿いの山間にあります。宿は湯川沿いを中心に立ち並んでいます。宿数は15軒(2020年12月現在会津東山温泉加盟旅館)です。
宿名に「原瀧(はらたき)」「新滝(しんたき)」「瀧の湯」「向瀧(むかいたき)」など“滝”と付いているところが多くあります。それは、湯川には小さい滝がいくつもあり、宿の近くにある滝の名前を宿名に付けたからだそうです。
泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(硫酸塩泉)で、湯温は源泉で50~60℃、毎分約1,500リットルの湧出量を誇ります。無色透明で、肌に優しいアルカリ性の温泉です。効能はリウマチ性疾患、慢性皮膚炎、高血圧症など硫酸塩泉特有の適応症のほか、疲労回復や筋肉痛、神経痛などを和らげる効果もあります。
芸妓さんと三味線の音が温泉情緒を盛り上げる
「会津東山温泉」では、かつて“東山芸妓”と呼ばれる芸妓さんが多く活躍していました。昨今は芸妓を呼んで遊ぶ温泉客が少なくなり、一時は芸妓がいなくなってしまうという心配がありました。それでは温泉場としての華やかさがなくなってしまうと、温泉を挙げて若い芸妓さんを積極的に養成し、芸妓遊びの楽しさを宿泊客にアピールした結果、三味線の音が響く昔ながらの東山温泉が復活しました。温泉街には射的場などが復活し、浴衣姿の温泉客が夜の温泉街を歩く姿も見られるようになっています。
会津東山温泉
問い合わせ先:会津東山温泉観光協会
住所:福島県会津若松市東山町湯本
電話番号:0242-27-7051
アクセス:
公共交通機関/JR磐越西線会津若松駅下車町中周遊バスで約15分、東山温泉下車、タクシーで約15分
車/磐越自動車道会津若松ICから約15分
URL:http://www.aizu-higashiyama.com/
会津藩ゆかりの登録有形文化財の宿「向瀧」
温泉街の中程にひときわ目立つ立派な木造建築の宿「向瀧」があります。江戸時代に会津藩指定保養所『きつね湯』として開設された温泉を引き継ぎ、明治時代中頃に創業ました。「向瀧」の建物はほとんどすべてが明治から昭和初期に建てられたもので、1996年(平成8年)に国の登録有形文化財の第1号として指定されました。
内湯「きつねの湯」は現在でも自然湧出している江戸時代以前からある古い源泉をかけ流しで使用していて、湯温が45℃とちょっと熱めの温泉です。日帰り入浴はできません。
向瀧
住所:福島県会津若松市東山町湯本川向200
電話番号:0242-27-7501
宿泊料金:宿泊人数や部屋、季節などによって変動します。詳しくはホームページまたは旅行サイトを参照
URL:https://www.mukaitaki.com/
「くつろぎの宿 新滝」の温泉は会津藩松平家の湯
土方歳三が傷を癒やしたという“猿の湯”から温泉を引いている「くつろぎの宿 新滝」には、足下の岩盤から温泉が湧き出している「千年の湯」もあります。この温泉はもともと会津藩主松平家の湯だったもので、殿様気分が味わえる湯として人気になっています。「新滝」の温泉はすべて源泉かけ流しです。日帰り入浴は実施していません。
くつろぎの宿 新滝
住所:福島県会津若松市東山町湯本川向222
電話番号:0242-26-0001
宿泊料金:宿泊人数や部屋、季節などによって変動します。詳しくはホームページまたは旅行サイトを参照
URL: http://www.shintaki.kutsurogijuku.jp/
「向瀧」や「くつろきぎの宿 新滝」は日帰り入浴ができませんが、小原庄助ゆかりの宿「庄助の宿 瀧の湯」「原瀧」など10軒ほどの宿で日帰り入浴を実施しています。また、土方歳三戦傷湯治岩風呂の近くには無料の足湯があります。
必ず立ち寄りたい会津若松の名所旧跡
会津若松は江戸時代会津藩の城下町として栄え、幕末は幕府軍として長州藩(ちょうしゅうはん)を中心とする倒幕派(後の明治政府軍)と戦い(戊辰戦争=ぼしんせんそう)ました。戊辰戦争末期には16~17歳の若者で結成された白虎隊(びゃっこたい)が、主君を思い飯盛山(めしもりやま)で自害するという悲劇を生んだのです。
市内には会津藩の居城だった「鶴ヶ城」(現在の天守閣は1965年に再建されたもの)や「白虎隊の墓」、「会津藩校日新館」、会津藩主の庭園「御薬園(おやくえん)」など名所旧跡が数多く点在しています。 また、古い町並みが残り、赤べこや和ろうそくなど会津地方の伝統工芸品などの体験施設などもあります。小原庄助さんが“朝酒”をした日本酒蔵が12蔵、試飲も可能です。また、山里ならではの郷土料理もおすすめです。
「会津東山温泉」と会津若松は是非セットで楽しんでください。