日本にはたくさんの城がありますが、豪華さを比べるならば愛知県名古屋市にある名古屋城は疑いなくトップクラスのお城でしょう。高さ55.6メートル、延べ床面積約4,500平方メートルと日本最大規模の大天守。1,000枚を超える障壁画と精巧な飾り細工が施された本丸御殿。極めつけは天守の上で輝く金の鯱。江戸と大阪の中間地点にあるこの城は重要拠点を守るにふさわしい威厳を備え、見る人を魅了します。
【なぜ名古屋にできた?】
1609年、関ケ原の戦いに勝利した徳川家康は、大阪で依然として力を保っていた豊臣秀吉の息子・秀頼に対する警戒のため、江戸と大阪を結ぶ街道の防御を固める必要に迫られます。このため建てられたのが、名古屋城です。築城には全国から20名もの大名が動員され、城は1615年に完成しました。
名古屋城はその豪華絢爛さから、1930年に日本の城郭で初めて国宝に認定されました。当時の建物は第二次世界大戦中の空襲によりほとんどが焼失してしまいましたが、幸いにも詳細な記録が残っていたため、現在は正確に復元された天守や本丸御殿を見ることができます。2020年現在、天守は安全上の理由から中に入れなくなっていますが、13棟もの建物と30を超える部屋を備えた本丸御殿は公開されており、豪華に飾られた内部を見て回ることができます。
【本丸御殿を歩こう】
本丸御殿はもともと、この地域の藩主の住居と藩の政庁としてつくられました。しかし後になると将軍が江戸から京都に行く際の宿泊所として使われるようになったため、上洛殿や湯殿書院など、将軍のための部屋が増築されていきます。名古屋城でも屈指の絢爛さを誇る御殿には江戸時代の先端技術がふんだんに使われており、近代城郭御殿の最高傑作と言われています。
本丸御殿の中でもひときわ豪華な装飾がなされているのが上洛殿です。室内は幕府の御用絵師である狩野派による襖絵や天井絵で埋め尽くされ、襖の上の欄間を飾る色鮮やかな透かし彫りには思わずため息が出てしまいます。部屋のいたるところに取り付けられた飾り金具は、職人の技巧が光る逸品です。本丸御殿では部屋の格式によって意匠も変化しているため、上洛殿の装飾がどれほど豪華であるか、ぜひほかの部屋の装飾と比べてみて下さい。
【ほかにもすごい名古屋城】
「金鯱城」(きんこじょう)の別名をもつ名古屋城は、その名の通り天守の上に載っている金の鯱(シャチホコ)で有名です。遠くからでも光り輝く姿が見える鯱は、創建当時には慶長大判1,590枚分の金が使われていたと言います。残念ながらこの鯱は空襲で焼失したため、現在の名古屋城の天守に載っている金鯱は1959年に復元されたものになります。
また、名古屋城に行った際にぜひ立ち寄っておきたいのが、城入り口前に広がる金シャチ横丁です。正門前の義直ゾーンでは、江戸時代の城下町をイメージした店舗が立ち並び、歩いているだけで楽しくなります。名古屋名物の「きしめん」や「ひつまぶし」などが食べられますので、お城を散策した後、食事をしながら休憩するのにピッタリの場所となっています。