【東京】人気アニメ『鬼滅の刃』の聖地巡礼が楽しめる「浅草六区」の魅力

Sponsored Link

大ヒットとなった『鬼滅の刃』とは

『鬼滅の刃(きめつのやいば)』とは、吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)さんによる伝奇少年漫画です。鬼に家族を殺された主人公の少年・炭次郎(たんじろう)が、妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため仲間とともに戦う絆の物語で、ファンの間では「鬼滅(きめつ)」の愛称で親しまれています。

日本一慈(やさ)しい鬼退治を描いた物語

本作は2016年より週刊少年ジャンプにて連載がスタートし、2019年にテレビアニメが放送されると瞬く間に大ヒットとなりました。同年のオリコン年間ランキングによれば、同じジャンプ掲載作である『ONE PIECE』を2位(1080万部)に抑え、堂々の1位(1205.8万部)に輝くなど、さまざまな話題にことかかない作品です。

しかし、多くの人々に惜しまれつつも2020年5月に物語は完結。今なお衰えることのない人気は、ファンなら誰もが知る作品の持つ世界観の魅力に他なりません。

そんな『鬼滅の刃』の“聖地巡礼”を、日本が誇る観光地「浅草」で楽しめるのを皆さんはご存じでしょうか。

宿敵・鬼舞辻無惨と出会う街

アニメでは第七話からのエピソードですが、炭次郎は禰豆子を連れて次の任務地である浅草へと向かいます。ところが、静かな山奥で暮らしていた炭次郎は、大歓楽街として繁栄していた当時の浅草に面食らってしまうのです。そんな浅草で、炭次郎は宿敵である鬼舞辻 無惨(きぶつじ むざん)と対峙した衝撃的なシーンが描かれますが、その場所がここ「浅草六区」だったのです。

国際的な観光地として、雷門、浅草寺、仲見世通りなどを持つ台東区・浅草。次の項目からは、「浅草六区」の今と昔をご紹介をしたいと思います。

浅草六区の今昔物語

「浅草六区(以降、六区)」とは、雷門を構える浅草寺から徒歩4分ほどの場所にある商業区域の通称です。今から150年ほど前、公園整備などによる区画番号の“第六区画”が名前の由来となり、この通りを中心とした店舗の集まりが「六区ブロードウェイ商店街」と呼ばれています。

日本でも名うての歓楽街と高層建物

もとは1883年ころ、浅草寺裏にあった見世物小屋が移転したことで、六区は歓楽街へとなっていきました。時代を経て明治・大正時代に入ると、演劇場、オペラ、映画館など、当時はやりの施設が次々にオープンします。正に絶頂期とも言えるこの時代の六区だからこそ、無惨が起こした悲劇的なシーンを、こんなにも私たちに印象付けたのかもしれません。

ところで、『鬼滅の刃』の時代設定は大正頃だと言われていましたが、アニメ作中で「とある高層建築物」が詳細に描かれていたことにより、おおよそ1923年(大正12年)以前であることが分かりました。

炭次郎がうどん屋台から浅草を眺めていた場面で、ひと際高い建物が見えたかと思います。それが、小説や映画などでも度たび登場する「凌雲閣(りょううんかく)」なのです。

凌雲閣(別名:浅草十二階)とは、1890年に完成した眺望用の建物です。当時としては高層建築物であったことに加え、日本初の電動式エレベーターが設置され話題となりました。

しかし、1923年(大正12年)9月1日に南関東を中心に襲った「関東大震災」により消失し、現在は史跡しか残されていません。つまり、作中で凌雲閣の描写がされていたことから、『鬼滅の刃』が震災以前を舞台にした物語であることがわかるのです。

余談ですが、凌雲閣で「美人コンテスト」がおこなわれた際に、「洗い髪のお妻」という芸妓さんが人気になりました。実は、女性は髪を結うのが当たり前な時代に、彼女だけがおろし髪(洗い髪)のまま写真を撮ったことで注目されたそうです。

『鬼滅の刃』でも丁度この後、炭次郎が愈史郎(ゆしろう)に「(禰豆子は)町一番の美人」と猛抗議をした回に繋がります。確かに、鬼になる前の禰豆子が当時の女性らしくきちんと髪を結った“普通の美しい少女”であったのも、物語の流れから何かの縁を感じました。

エンタメの聖地として多くの著名人を輩出

昭和に入ると、第二次世界大戦や東京大空襲に見舞われながら、浅草六区は庶民から絶大な人気を得た“エンタメ”の街として発展しました。「浅草フランス座(浅草演芸ホール)」や「浅草ロック座」などの幕あいで公演されたお笑いが人気となり、多くの著名人を輩出してきたのもここ、六区なのです。

その面々には『男はつらいよ』の寅さん役で知られる渥美清さん、欽ちゃんの愛称で親しまれている萩本欽一さん、さらに“世界の北野”こと北野武(ビートたけし)さんの名前もあります。

ビートたけしさんの著書『浅草キッド』でも、当時の活気ある様子が詳細に描かれており、“日本一おいしい!”と称した「セキネの肉まん」はここ、六区にあるお店です。

何度も時代の波をかい潜ってきた六区ですが、再び試練が襲います。高度成長期と呼ばれた1960年代に入ると、東京オリンピックを期に日本はテレビ時代を迎えたことで、エンタメの中心であった六区は斜陽の一途をたどり始めてしまうのです。最盛期にあれほど賑わっていた劇場や映画館は次々と閉鎖され、浅草を訪れていた人々が他の街へと流れてしまいました。

後に、商店会や街の人々の努力に加え、浅草ROXを始めとした商業施設、交通網の整備などにより、浅草と共に六区は再び息を吹き返えすことになります。

その要因の一つが、この街が持つ柔軟な土壌が関連しているのかもしれません。

浅草寺を始めとした古い文化を守りながら、隣接する六区では映画館や高層ビルといった新しいものを次々に取り入れて来ました。また、春に三社祭で大勢の氏子が神輿を担いだ大通りを、夏には南国情緒あふれるサンバカーニバルの踊り手たちが練り歩きます。何でもない日であっても、背の高い金髪男性が浴衣姿で楽し気に散策し、ムスリムの女性が布を被りながら着物姿でニッコリとほほ笑む、そんな素敵な風景が満ちあふれているのです。

こうして六区は、国内外の観光客に愛される、現在のような新旧が入り混じった活気ある街を作り上げることに成功します。

不思議な世界に迷い込める街

『鬼滅の刃』の作中で描かれた六区の風景は、現在は跡地のプレートや看板でしか残されていません。炭次郎が無惨を追う際に阻まれた人波も、お正月やイベントなどの時期でしか見かけなくなってしまいました。

様々な時代を見続けていた六区は、街の姿を何度も変えながら在り続けて来たからです。そんな今の六区では、『鬼滅の刃』の時代に沿った世界観を見付けることは少し難しいかもしれません。

ですが、日本最古の遊園地である「花やしき」周辺に目を向けてみると、どこか『鬼滅の刃』の雰囲気を楽しむことができる場所であると気付かされます。

浅草にはレンタル着物のお店が多く、『鬼滅の刃』に似た装いや、実際にコスプレなどを楽しむ観光客をたびたび見かけました。作品とは関係ないようですが、兄弟子などが被っていた狐面も、ここ最近の浅草では和装をする際に流行りのアイテムなのだそうです。

ひさご通りから言問(こととい)通りを抜け、数分ほど歩いた先に『鬼滅の刃』もうひとつの聖地巡礼ができる場所があるので、簡単ですが次の項目で紹介したいと思います。

兄妹の絆を描いた吉原への潜入

浅草界隈の聖地巡礼として忘れてはならないのが、六区から歩いて6~7分の街・千束です。ここは妓夫太郎(ぎゅうたろう)と堕姫(だき)が根城に、炭次郎、善逸(ぜんいつ)、伊之助たち鬼殺隊員が“女装”姿で潜入した「吉原遊郭(新吉原)」が在った場所なのです。

吉原への潜入では炭次郎らのコミカルなやりとりに加え、二組の兄妹の悲しい生きざまが描かれたお話なので、印象に残っている方も多いのではないかと思います。

現在の吉原も繁華街として存在し、近隣には酉の市で知られる「鷲神社(おおとりじんじゃ)」や「吉原神社」、地名だけが残された「吉原大門(よしわらおおもん)」などが当時の面影を偲ばせてくれるでしょう。

流行と伝統とが交差する浅草

フィクションである『鬼滅の刃』の世界を現実に楽しめる街・浅草。東京スカイツリーや両国、上野、蔵前、秋葉原(アキバ)などにも近く、交通アクセスも良好です。カフェや休憩する場所も多く、舟和の芋ようかんや雷おこしなど甘味も充実。さらに、日本の他の観光地と比べ、物価が安い部類なのも助かります。

また、大通りには二階建てバスが走るのと同時に、その横を人力車が駆け抜ける風景が共存するこの街は、まるで鬼と人間とが交差する感覚に近いのかもしれません。

皆さんも浅草への観光の折には、炭次郎や禰豆子へと思いをはせながら六区を歩いてみてはいかがでしょうか。

【スポット】

■浅草六区■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/vkqBdPjWNYm4MwCE6
公式サイト:https://www.asakusarokku.com/home

■浅草凌雲閣■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/jEpzfTHCSnANZi9S9

■凌雲閣記念碑■
MAP:https://goo.gl/maps/sStaHdpspPkSKCuZA

■浅草演芸ホール■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/jEpzfTHCSnANZi9S9
公式サイト:https://www.asakusaengei.com/

■浅草ロック座■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/5Bd1Pk9AdRQStQBu5
公式サイト:http://asakusa-rockza.com/

■セキネ 浅草店■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/S3R6qJPnLh9uXhp48

■浅草 花やしき■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://g.page/asakusahanayashiki?share
公式サイト:https://www.hanayashiki.net/

■浅草ひさご通り■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」
MAP:https://goo.gl/maps/pLK3f1dTCi2pzVAQ6
公式サイト:http://asakusa-hisagodori.com/

■吉原神社■
アクセス:東京メトロ・東武鉄道・都営地下鉄・つくばTX「浅草駅」/東京メトロ「入谷駅」
MAP:https://goo.gl/maps/6ChrbAFdrACCpUmi7
公式サイト:http://www.asakusa7.jp/yosi.html