「下諏訪温泉」は、中山道と甲州街道が分岐する旧宿場町「下諏訪」に湧く歴史ある温泉です。その歴史は古く、神話時代には神事に温泉(神の湯)が使われていたとの伝説が残っています。また、鎌倉時代にはお寺の湯が温泉だった記述もあり、少なくとも鎌倉時代以前には知られていたようです。
下諏訪は長野県の中部、諏訪湖の北岸に位置しており、京都と江戸を結ぶ山間の街道「中山道」と下諏訪から分岐し江戸に向かうもう1本の街道「甲州街道」の宿場町の顔と、諏訪大社(すわたいしゃ)の下社秋宮(しもしゃあきみや)や下社春宮(しもしゃはるみや)の門前町の顔を持ち合わせた、信濃路きっての賑わいを見せていた町でした。
また、下諏訪は中山道で唯一の“温泉のある宿場町”として知られていて、当時の諸国温泉番付では草津温泉(大関・最高位)、那須温泉(関脇)に次いで東の小結に位置しています。
下諏訪温泉
住所:長野県諏訪郡下諏訪町
問い合わせ先:下諏訪温泉旅館組合
電話番号:0266-28-2231
アクセス:
公共交通機関/JR中央本線下諏訪駅下車
車/中央自動車道諏訪ICから国道20号線で約20分、または長野自動車道岡谷ICから約20分
古い源泉、熱い源泉などバラエティに富む温泉
「下諏訪温泉」には伝説の神の湯やお寺の湯のなど古い源泉が今でも残っていて、当時からの共同浴場もあちらこちらに残っています。高速道路が諏訪湖南岸を通るルートになったこともあり、諏訪地方の商業的な中心が隣の諏訪市となり、諏訪湖の北岸にある下諏訪の町はあまり開発されずに、昔ながらの宿場町、門前町、温泉場としての風情を色濃く残しています。
「下諏訪温泉」にはいくつかの源泉があり、宿や共同浴場ごとに違う泉質を楽しめます。湯量は全体で毎分5100リットルと豊富です。共同浴場は江戸時代から続くところに加え新しく開設された物を含め8か所あり、気軽に温泉気分を味わえます。
源泉は20か所以上あり、泉質は弱アルカリ単純温泉、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉、含鉄・アルミニウム-硫酸塩泉など源泉により違います。宿、共同浴場、足湯などで引いている源泉が違うので、泉質などは各施設のホームページなどで調べる必要があります。
温泉宿は少し離れたところにある毒沢温泉(どくさわおんせん)を含めて16軒ほどで、10室以下のこぢんまりとした和風旅館がほとんどです。100年以上続く老舗宿も多く、宿場町の本陣に隣接し参勤交代の大名の寝所だった部屋を利用した宿(『聴泉閣かめや』)もあります。
下諏訪にある諏訪大社下社秋宮の手水舎(ちょうずや・てみずしゃ=手を清める水場)に使われている温泉“綿の湯”は、「下諏訪温泉」で最も古い源泉といわれていますが、この湯は秋宮近くの『みなとや旅館』や『聴泉閣かめや』に引かれています。泉質は弱アルカリ性単純温泉です。
熱い温泉が当たり前の共同浴場
共同浴場の1つ、江戸時から続く『旦過の湯(たんがのゆ)』は、下諏訪の古刹『慈雲寺』を訪れる修行僧のために建てられた「丹過寮」の浴場だったところです。源泉の温度が52℃と高く、そのまま湯船にかけ流されているので、内湯の湯温は少なくとも47℃以上あります。とても熱く一般的にはせいぜい1分くらい入るのが限度ですが、地元の人は「毎日入りに来るよ。3分ほどで出てそれを何回か繰り返すのがいいんだ」とのこと。2012年にリニューアルされ露天風呂もあり内湯ほど熱くありません。共同浴場『新湯』も同じ源泉です。
『旦過の湯』の源泉は老舗宿『鉄鋼泉本館』にも引かれています。『鉄鋼泉本館』の温泉は“綿の湯”源泉も引かれていて、湯船には2つを混合して使用されています。泉質はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉で、無色透明で肌に優しい温泉です。
『旦過の湯』と“綿の湯”の源泉を混合した湯は、下諏訪宿の脇本陣を再現した『御宿 まるや』や共同浴場『遊泉ハウス児湯(ゆうせんはうすこゆ)』などでも使われています。
「下諏訪温泉」の共同浴場はほかに1886年(明治19年)創業の『菅野温泉(すげのおんせん)』、『矢木温泉(やぎおんせん)』、下諏訪唯一の民間日帰り温泉施設『湖畔の湯(こはんのゆ)』などがあります(『みなみ温泉』は2019年末に閉館)。
『湖畔の湯』は諏訪湖に面した比較的新しい施設で、ジャグジーや露天風呂を備えた日帰り温泉です。
遊泉ハウス児湯
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3477
電話番号:0266-28-0823
営業時間:5:30〜22:00(最終受付21:30)
定休日:年中無休
入浴料:おとな 240円 こども 120円
旦過の湯
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3441
電話番号:0266-26-7520
営業時間:5:30〜22:00(最終受付21:30)
定休日:年中無休
入浴料:おとな 240円 こども 120円
新湯
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3154-3
電話番号:0266-26-7332
営業時間:5:30〜22:00(最終受付21:30)
定休日:年中無休
入浴料:おとな 240円 こども 120円
菅野温泉
住所:長野県諏訪郡下諏訪町大社通3239-1
電話番号:0266-27-1076
営業時間:5:30〜22:00(最終受付21:30)
定休日:年中無休
入浴料:おとな 240円 こども 120円
矢木温泉
住所:長野県諏訪郡下諏訪町矢木東219-25
電話番号:0266-28-3232(土田商店)
営業時間:5:30〜22:00
定休日:年中無休
入浴料:おとな 240円 こども 120円
湖畔の湯
住所:長野県諏訪郡下諏訪町南四王6130-1
電話番号:0266-28-0054
営業時間:6:00~21:30
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌日休)
入浴料:おとな 280円 こども 130円
各宿の問い合わせ先
下諏訪温泉旅館組合
電話番号:0266-28-2231
中山道最大のパワースポット「諏訪大社」
「下諏訪温泉」最大の名所といえば「諏訪大社」でしょう。全国に2万5,000社あまりある諏訪神社の総本社で、全国で最も古い神社の1つといわれています。「諏訪大社」は諏訪湖畔に4つの社があり、下諏訪温泉エリアにあるのは『下社春宮』と『下社秋宮』です。あとの2社は少し離れて『上社本宮(かみしゃほんみや)』(諏訪市)と『上社前宮(かみしゃまえみや)』(茅野市)があります。
ご利益は五穀豊穣や家内安全などさまざまにありますが、ご祭神がちょっと暴れ棒の戦いの神様ということもあり勝負運が第一です。
本殿の四隅には長い柱(御柱)が建っていて、その柱を6年に一度建て替えるのが“御柱祭”です。秋田県男鹿半島の「なまはげ」や山梨県富士吉田市の「吉田の火祭」とともに“日本三大奇祭”に数えられ、多くの観光客が訪れます。
『下社秋宮』は下諏訪の中心部、中山道と甲州街道が分岐点近くにあり、4社の中で最も参拝客で賑わっています。地元以外の人は「諏訪大社」はここだけと勘違いしている人も多いようです。手水舎には温泉が使われています。
『下社秋宮』の境内社(境内の中にある小さな神社)に「子安社」がありますが、ここに“底の抜けたひしゃく”を奉納すると安産になるといわれています。ひしゃくは境内の授与所で買うことができます。
『下社秋宮』の北1kmほどのところにあるのが『下社春宮』です。秋宮とはまっすぐな道で結ばれていています。秋宮と春宮の中間点あたりにある「下馬橋」は下社2社ゆかりの建物では最も古い建物いわれていて、下諏訪町の文化財に指定されています。
諏訪大社下社春宮
住所:長野県諏訪郡下諏訪町193
参拝自由
諏訪大社下社秋宮
住所:長野県諏訪郡下諏訪町5828
参拝自由
旧宿場町の町並みが残る下諏訪の町散
下諏訪の甲州街道と中山道の分岐点近くには、本陣跡や旅館など当時の面影を残す建物や遺跡が多く残ります。「下諏訪宿 本陣 岩波家」は江戸時代に建てられた本陣の建物が現在も残っています。邸内では見事に手入れされた回遊式庭園が四季折々に美しい姿を見せてくれます。
旧街道沿いには江戸時代の建てられた商家「伏見屋邸」や「橋本政屋(はしもとまさや)」や「松屋」(現今井邦子文学館)などの茶屋跡が残っていて、江戸時代にタイムスリップしたような風景が広がります。
下諏訪宿 本陣 岩波家
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3492
電話番号:0266-28-7055
営業時間:9:00~18:00(11月~3月17:00まで)
入館料:おとな500円、こども300円
※要予約
定休日:4月~10月は無休、不定休
URL:https://shimosuwaonsen.jp/item/764/
今井邦子文学館(旧松屋)
住所:0266-28-9229
長野県諏訪郡下諏訪町3364
電話番号:営業時間 9:00~17:00
料金 無料
休館日:月曜日と祝祭日の翌日、12/1~2月末
橋本政屋
住所:長野県諏訪郡下諏訪町高木9069
電話番号:090-9353-3833
カフェ&イベントスペース駐車場 30台有
URL:https://hashimoto-masaya.net
下諏訪観光協会
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3289
電話番号:0266-26-2102