埼玉県吉見町にある「吉見百穴」。古墳時代に造られたもので横穴式古墳群という無数の横穴があいた遺跡なのですが、この形がトルコの世界遺産カッパドキアに似ていることから「埼玉のカッパドキア」とも呼ばれています。多くの観光客がこのミステリアスさに魅かれて訪れます。
吉見百穴の横穴はお墓として掘られたようで、現在確認されているだけで219あります。間近で見ることができ、穴の中の様子を知ることができます。穴の入り口は直径1m程しかありませんが、穴の中はベッドのようなものを見ることができ、ここに棺桶が置かれていたと考えられています。
発掘当初はコロボックル(アイヌの伝承に登場する小人)の住居だったのでは?という主張もあり、何のために造られた穴なのかは不明だったようですが、現在では墳墓としての用途だったという説が定説です。
日本のお墓で典型的な前方後円墳や円墳といった形とは違うので、吉見百穴のような横穴式のお墓はミステリアスに感じます。頂上までは5分ほどで登ることができるので、小さなお子さんがいる家族でも一緒に楽しむことができます。穴の近くに階段が取り付けられているので、かなり間近で中の様子を伺えます。
この横穴で有名な吉見百穴ですが、実は国指定の天然記念物に指定されている「ヒカリゴケ」が穴の中で自生していることも見どころです。洞窟のような暗所でエメラルド色に光るコケで、本州の中部地方以北の山地に分布しているのですが関東平野で自生しているのは大変珍しいため、吉見百穴に訪れた際はぜひ貴重なヒカリゴケの姿を見てください。
ミステリアスな魅力を持つ吉見百穴。お土産屋さんもあり、同じ敷地内にある吉見町埋蔵文化財センターでは、町内の貴重な文化財の展示や学習体験で勾玉(まがたま)・埴輪作りができます。ご家族や友人で楽しめる場所となっているので、天気が良い日に訪れてみてください。