【歩いて、祈って、歩く ~四国巡礼の旅・お遍路~】

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聖地を目指して長い旅路を歩くのが巡礼ならば、四国のお遍路は少し違うかもしれません。お遍路は、日本を構成する主要な四島の一つである四国を巡り歩き、札所と呼ばれる88のお寺を参拝して周る巡礼だからです。スタートはありません。88の札所のどこからでも始められます。順番も決まっていません。札所の番号を順番に周る「順打ち」、逆に回る「逆打ち」、好きな札所から自由に回る「乱れ打ち」というのもあります。期間も自由です。一度の旅で88か所全部を周る「通し打ち」、何度かに分けて周る「区切り打ち」、阿波、土佐、伊予、讃岐の四つの地域ごとに区切って周る「一国参り」など、自分の都合に合わせたスケジュールで巡礼できます。

さらに巡礼方法も徒歩のほか、自転車や自動車、バスを使うことも認められています。このようにお遍路は、巡礼の道程を自由に決められるという点で一般的な巡礼とは違うかもしれません。それでもやはりお遍路が巡礼であると言えるのは、それが信仰に根差したものだからです。

(70番札所 本山寺の五重塔と弘法大師像)

お遍路で巡礼する88の札所は、弘法大師により開かれたと言われています。弘法大師とは空海という名の僧で、774年に現在の香川県善通寺市で生まれました。幼少の頃から聡明で、804年には遣唐使の留学生に選ばれ当時の中国・唐へ渡り、仏教の一宗派である密教を学びます。帰国後は真言宗の開祖となり、高野山に金剛峯寺を開いたり京都の東寺を天皇より賜ったりしました。その業績により死後、弘法大師の称号を与えられました。

(お遍路は白装束を着て、金剛杖を持って歩きます。首にかかっているのは輪袈裟です。)

弘法大師は若い頃、四国で修業をしていたと言われます。お遍路は、弘法大師の足跡を辿り、自身も同じことをするという修行の旅でもあるのです。そのためお遍路をする人は皆、白装束を着て輪袈裟を身に付け、笠をかぶり、金剛杖と呼ばれる杖を持っています。とくに金剛杖は弘法大師そのものであると考えられているため、お遍路中は「同行二人」といって常に弘法大師とともに巡礼をしているのだと考えられています。

(納札の表には日時や名前を書き、裏側には自分の願いを書きます。納札の色はお遍路を何周したのかによって異なり、1~4周白色、5~6周緑色、7~24周赤色、25~49周銀色、50~99周金色、100週以上は錦のお札になります。)

札所での参拝では納札という札を納め、読経や写経などを奉納し、その証として納経をもらいます。納経は納経帳という本に書いてもらうほか、納経軸という掛け軸や御朱印白衣などにもらうこともできます。88か所すべての納経がそろったものはとても尊いとされ家宝となったり、白衣は死後、荼毘に付すときに着せてもらう死出の晴れ着に使われたりします。

(お経を奉納したあとは納経帳に納経してもらいます。納経は、御朱印とも言います。)

お遍路のコースは決まっているわけではないので人によって異なりますが、全88の札所を周ると1200~1400キロメートルにもなります。道中も山道など険しい場所もあるので、すべてを周るのは決して簡単なことではありません。しかしお遍路は巡礼の旅であり、修行の旅でもあります。たとえ少しでも札所を周りお遍路を行ってみるのであれば、いまの自分と向かい合い、新たな変化が自身の中から起こってくるのを感じることでしょう。

(88番札所、大窪寺。全ての札所を順番通りに巡礼した場合、最後に訪れる札所になります。)

Information

Access藍住インターチェンジ → 県道1号線(板野町方面へ進む) → 県道12号線(鳴門市方面へ進む)
Business hours●納経受付時間(全札所共通):7:00 ~ 17:00
●定休日:なし
Websitehttps://88shikokuhenro.jp/shikoku88/
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