日本でも有数の景勝地である松島は、宮城県の松島湾にあります。松島丘陵が沈降してできた湾には約260にも上る島々が点在し、その美しい景観は日本三景の一つに数えられ古くから親しまれてきました。江戸時代にこの地を訪れた俳聖の松尾芭蕉はあまりの美しさに言葉を失い、句を詠むことができなかったほどだと言います。
松島には松島四大観と呼ばれる絶景が見えるポイントが四つあり、ぞれぞれのポイントは見える景色の印象にちなんで「壮観」、「麗観」、「幽観」「偉観」と名付けられています。「壮観」は壮大な景色、「麗観」は麗美な景色、「幽観」は落ち着いて静かな景色、「偉観」は力強い景色という意味で、それぞれの場所からは異なる表情の松島を見ることができます。
松島四大観はそれぞれ陸上にあるスポットですが、松島をもっと近くで見たいというときは遊覧船に乗るのがおススメです。遊覧船は松島湾を周り、仁王島や双子島など様々な島の近くを通ります。ときには空高くそびえ立つ岩の島であったり、ときには海面すれすれに顔を出している小さな島であったり、島は変化に富んでいます。船上で潮風が運んでくる海のにおいを感じながら一つ一つの島を眺めれば、地上から見たのとはまた違った印象の松島を味わうことができるでしょう。
松島にはまた、多くの歴史的な建物があります。松島のシンボルともいうべき五大堂や、伊達政宗が豊臣秀吉からもらった茶室を移築した観覧亭など、地元仙台藩の藩主であった伊達家に縁のある建物が多くあり、国宝に指定されている伊達家の菩提寺、瑞巌寺もここにあります。
松島の美しさは多くの人を魅了し、惹きつけてきました。その姿は変わらないまま、いまに至るまで引き継がれています。湾に囲まれた静かな海と、波間に見える島々がつくる風景は、訪れた旅人の心をぎゅっととらえて離さないことでしょう。