【日光】神になった将軍・徳川家康を祀る神社 -日光東照宮-

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栃木県日光市にある日光東照宮は、江戸幕府の初代将軍徳川家康を祭神として祀る神社です。日本では通常、死者はお寺に埋葬されますが、徳川家康は1616年に75歳で没したのち「東照大権現」の神号を与えられ、神格化されました。そのため、お寺に埋葬されるのではなく、日光東照宮に祭神として祀られています。

(徳川家康の墓所がある奥宮。写真右の宝塔の下に家康は埋葬されています。)

東照宮には多くの建物があり、それらは漆や極彩色で彩られたたくさんの彫刻で飾られています。例えば、表門をくぐってすぐ左手にある神厩舎には、猿を描いた8枚の彫刻があります。この8枚は、人間の一生の中のそれぞれの場面を表現していると言われており、母親に守られている姿や上を向いて立派になろうと志を立てる姿などが描かれています。中でもとくに有名なのは「三猿」と呼ばれている一枚で、目、耳、口をふさいでいる三匹の子猿が描かれています。これは幼い時には悪いことを見たり、聞いたり、言ったりしないで良いことだけを受け入れて、素直な心で育っていくように、ということを表しています。また、家康の墓所へ続く階段入り口の門には、「眠り猫」と呼ばれる彫刻があります。これは徳川の治世になって猫すらも眠ってしまうほど平和になったことを意味しているとも、実はこの猫は寝たふりをしているだけで実際には家康の墓所を守っているのだとも言われています。

(神厩舎にある三猿の彫刻。子猿たちのユーモラスな姿に、思わずにっこりしてしまいます。)

日光東照宮に来たら陽明門を見逃してはいけません。この豪華絢爛な門は500以上もの彫刻で飾られていて、いつまで見ても見飽きないことから「日暮の門」と呼ばれています。しかもこの陽明門、実はまだ完成していません。12本ある柱をよく見てみると、1本だけ模様が上下逆さまになっているのです。「建物は完成すると同時に崩壊が始まる」という伝承があるため、わざと柱を逆につけて未完成にすることで災いを防いでいるのだと言われています。

(神社の鳥居のすぐそばに五重塔が立っています。ちょっと不思議なこんな光景も、日光東照宮ならではです。)

東照宮は神社ですが、境内には五重塔や本地堂など本来ならばお寺にあるべき建物が見られます。これは仏教と神道という二つの宗教が、日本では融合して明確に区別されることなく信仰されるようになったためです。1868年、明治政府は神仏分離令を出し、神道と仏教を厳密に分離するよう命じましたが、長い間融合していた信仰が簡単に分離できるはずもなく、東照宮の五重塔や本地堂はそのまま残されました。神社の境内にこれらの建物があるのは不思議に感じられますが、この光景は二つの宗教が区別なく融合していた時代の名残なのです。このような変遷をたどった東照宮は、建造物の優れた芸術性や自然と一体となった宗教空間を作り上げていることなどが評価され、1999年に「日光の社寺」を構成する要素の一つとして世界文化遺産に登録されました。

Information

Access●浅草 ~ 東武日光(特急けごん) : 所要時間 約1時間50分
●浅草 ~ 下今市~東武日光(特急きぬ+各駅停車) : 所要時間 約1時間50分
●浅草 ~ 東武日光(東武鉄道快速) : 所要時間 約2時間5分
●新宿 ~ 東武日光(JR特急日光) : 所要時間 約2時間
●宇都宮 ~ 日光(JR日光線) : 所要時間 約45分
Business hours●拝観時間:4月1日 ~ 10月31日(午前9時より午後5時まで)、11月1日 ~ 3月31日(午前9時より午後4時まで)
※尚、各期間とも受付は閉門30分前に終了致します。
Websitehttp://www.toshogu.jp/
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